先日 友人から「なぜガラス工房をするようになったの?」という質問を受けまして(^_^;)
改めて考えてみたのですが、元々販売目的ではなく、手仕事の趣味を持ちたいという思いがスタートだったと思い返してお話しさせていただきました。
当時 自宅で学習塾をやっていたので ある程度時間に余裕はありました。次女が幼稚園に通い始め、それまで一日中子供と一緒にいる生活が当たり前だったのに ぽっかりと空いた時間。なにか趣味でもはじめようと思いついて始めたのがこの仕事の原点です。で、趣味といってもそれまで英会話とか習いに行っていたのですが、子供が小さいと急に熱を出したり、子どもをひとり家においてまで外に出来かけるのは気が引けて、英会話も急に欠席をしたりで迷惑をかけることが多かったのです。そこで自宅で学習しながらできるものはないかなあと思ってガラス工芸の道に入っていったのですが、別に芸術に秀でているわけでもなく絵心があるわけでもなく、それでもサンドブラストに魅せられたのはガラス工芸の中で一番自分の思い通りになると思ったからかもしれません。そんな勢いで一気に工芸展に出品しようとまで思ったきっかけは、自宅にあったキルトだったような気がします。
ほぼ壁面一枚一辺2メートル位あるかな?私の母親が作ったキルトです。こうゆう手仕事が小さいときから身の回りにありました。母はお料理とか園芸とかにあまり興味のない人でしたが、こういった手仕事は昔から好きで私の記憶では中学校に上がるまで私や妹の服もほとんど手作りでした。当時はユニクロとか安価な服がなかったことも理由でしょうが、服を買うということは本のパターンの中からデザインを選んで必要な生地やボタン・糸を生地やさんで買って縫うということが当たり前でした。ただ、なんでも作ってくれたかというとそうではなく あくまで母の希望に沿ったものしか作ってくれなかったという記憶が残っています。大人になってから気づいたのですが、家計には限られた予算というものがあるから仕方なかったのでしょうね。だって、女の子なら洋服はかわいくて綺麗なものが大好きなわけですから、必然的に高価になり母にとっては作りたくても予算オーバーになっていたのでしょうね。でも、そんなことを子供心に感じずに育てていただいたことには感謝です。
でも、そんな家庭に育ったものですから、コツコツとモノを作ることは当たり前に思って育ってきたような気がしますね。そして、子供心に洋服を作ってもらう過程で自分の意見が通らなかったことが多かったせいか、作るなら 欲しい人の気持ちを反映したものを作りたいという思いは強いかもしれません。
そんな中でサンドブラストの機械を自宅で購入して 自分の好きなものをつくって工芸展出品を目指し始めていたのですが なにぶん練習するだけでもいろんなガラス製品が出来上がってしまう・・・目指していたのは、厚い板ガラスを幾層にも彫りあげる手工芸だったのが、当時ガラスのグラスとかを無料でくれるお店があって よくそういったグラスに彫っていました。なぜ無料でいただけたかというのは後々から知るようになるのですが、当時は商売とは無縁の世界にいたので世の中でどんな動きがあったかなんで全く知らない人間でした。
それでも自宅に勉強に来ていた子供達のお誕生日祝いにガラスに名前を彫ってプレゼントしたりすると喜ばれ、それが嬉しくて頼まれればいくらでも彫っていました。特に子供の書いた絵なんかもよくつくってましたね。~そんな時にネット通販と出会い・・・まあその話しは後日ということで。
この写真は母のキルトの先生でもあるバロン薩摩氏の奥様 薩摩利子先生。
15年以上前に始めてお会いしたときから 本当に気さくで 壮絶な人生を歩まれた方など最近まで存じ上げなかったくらい 優しさに満ち溢れた方です。
人は小さい時の家庭環境に全く左右されずに育つものではないと、この年齢になって思う時があります。父も母の個性の強い人なので私は逆に個性的な生き方をすることが苦手であり、良しとも思わずにいましたが 気がつけばそれなりに人から「個性的だ」と言われることがあります。よく言われるのが フツーならガラス工芸を勉強するのに自宅にブラスト機は買わないだろうといわれることなんですけど。(笑)
冒頭の話に戻りますが なにかを始めたいと思ったとき そのなにかが自分の今までの生い立ちのなかでどのように関わってきたかを考えることは大切なことだと思います。全く関係のないことのように思うものでも、なにかしらの接点があってご縁をいただき その事に従事するようになるのではないかと思うからです。明日はネット通販を始めて14年目の日に当たります。また、このネット通販とのご縁というのも不思議な縁があってのことで・・それはまた次回書くとしましょう。