ガラススタジオで制作に取り組んでいるパート・ド・ヴェールの色を考え中です。ガラスの色は光を通してキラキラ感が変わってくるので絵の具のように見本と同じになるといえば そうではなく・・・
色がついているガラスは身の回りにたくさんあると思います。それでも実際にガラスに色をつけるとなるとそれは大変。溶融具合で微妙に色が変わることも多々あり。個人で楽しむのであれば、毎回違った色でも面白いでしょうが、職人として同じ色を毎回出したり、ガラス作家として個性ある色を創造するのは一仕事。
そんなガラスに色をつけるといって考えることはなんでしょう?私の頭をよぎったのはガラス瓶の分別!みなさんの町では透明ガラスと色付きガラス瓶を分別して収集されていませんか?主婦の私としては、ガラスの美しさに心奪われながらも、ワインボトルの緑色も着色されてる?なんて、素朴な疑問を持ったりするのです(^^ゞ
ワインを飲むとワインボトルはリサイクルゴミとして捨てます。その後、回収されたガラスは、無色・茶色・その他の色に分別されてカレットとしてガラスとして再利用されるのです。ガラス瓶を作る原料の約80%がこの使用済みのガラスを細かく砕いたカレットと、けい砂・石灰石・ソーダ灰など天然の原料を混ぜ、新しいガラスびんが作られます。とはいえ、板ガラスや電球・耐熱ガラスなどは透明といえども一緒にできません。残念ながら、成分が違うのでガラスびんに生まれ変わることはできないのです。それでも、アスファルトやグラスウール・ブロックなどカタチを変えて再利用されます。
ガラスに色をつけるお題からガラスのリサイクルを調べてみました(^^ゞ気分は、小学生の自由研究もどきですが、調べるほどに奥の深いガラス。また、そんなガラスのリサイクルというアプローチからガラス工房を運営されているところもあるようです。愛媛県にある森の国ガラス工房かざねでは、ゼロエミッシュン(排水・排出ガス・廃棄物・温排水などの発生量を減らし、リサイクルすること)を、
リサイクルガラスの製造として学習しながら 吹きガラスやサンドブラストを体験することができ、それを通して環境教育のきっかけ作りもされているようです。弊社から車で3時間位で行けそうな距離にあるので、いつか訪ねてみたいガラス工房の一つとなりました。
たった1つの色のついたガラス瓶をみたとしても、ガラスの作り手のことを考えるのか、ガラスの再利用を考えるのか、ガラスを通した環境を考えるのか、いろんな見方ができてしまうガラス。5000年も昔から人の生活の中に根付いてきたことだけのことはあります。例えば、化粧品のガラス小瓶は以前はすべて不燃ゴミとされ、リサイクルされることはありませんでした。でも、2008年より化粧品業界がガラス小瓶の原材料を変更して 乳白色のびんを除いてリサイクルできるようになりました。
「重い」や「割れる」などの理由から、ガラス瓶は敬遠されがちですが、それでも時とともに進化しつづけるガラス。やはり歴史あるものはそれだけで存在意義がありますよね。身近なガラスをもっと身近に感じていただけば嬉しいなと、何色にしようかなと考えながらも、ガラスのリサイクルについても考える夏の終わりです(^^ゞ