先日、手元にあったすずらんのお皿の画像があったら・・・と、書いたのですが、スマホの画像の中に試作段階中のすずらんの図案がありました。
でもご覧のとおり、お皿ではございません。板ガラスに彫っただけのものです。お皿に彫る前に私は何度か板ガラスに彫ってみたりします。たとえば、すずらんだと軸・茎・お花といったパートに分かれるのですが、彫る順番によって出来上がりに差があるのです。
最初は軸を彫ってみて、次に茎、お花としましたが、2番目はお花、茎、軸と順番を変えてみました。そしてまだ板ガラスに空白があったので、茎・お花・軸も。
実際にお皿に施した時はお花・茎・軸でした。もちろん、葉っぱ部分もすごく深く彫ったり、極端に浅く彫ったり、均一に彫ったり、斑に彫ったりと試してみます。自分が作りたいイメージが実際にガラスに彫ると 思いもよらず平面だったりするので ついつい用心のため色々試してみるのです。
たくさんのガラス作品を作るよりも、一つを仕上げるために試行錯誤する時間が私は好きです。同じ図案をカットすることで、カットが自分でも上達するのが分かるのは書道のお稽古と似ているかもしれませんね。
当店でお作りするガラスたちはカットという作業をマシーンがしてくれます。また、彫ることも斑になることより均一になることが「良し」とされています。ある意味、作り手の個性を消すことで多くの人たちに受け入れられやすい作り方を目指しています。個性が強いことは作家としてOK!でも、職人としはNG!ですもの。
あくまでも当店の主役はお客様からオーダーいただいた一文字、一文字。それを正確に、真心こめて彫ってこそ、ガラスに命が吹き込まれます。そうやってお作りしたものこそ、ご注文いただいたお客様に心底お喜びいただき、受け取った方に感動していただけるガラスと信じています。とはいえ、ついついあれやこれも試してみたくなる・・・というのは私だけかもしれませんね。