お正月に実家に帰省した折り、久しぶりに顔を合わす父親の顔が柔らかくなっていた。お茶を入れてくれる父親の手が細くなり、声色が優しくなっていた。そんな事はありませんでしたか?
自分は社会人として忙しく働く中、父親の世代は間違いなく現役世代から引退していこうとしています。いつまでも自分を子供扱いして叱っていた父親の頭に白いものが増え、貫禄を感じていた背中にさえ丸みを感じたりするものです。
平成25年より 男性の老齢厚生年金の支給開始が61歳に引き上げられ、60歳で定年退職することなく引き続き働くことが義務付けられました。しかし、そのまま同じ待遇で同じ職場で働き続けられる人はまだまだ少なく、嘱託や短時間勤務など非正規雇用に切り替えられることあります。そういった環境の変化に対する不安は自ずと態度や言葉にでるものです。
そんな父親の姿を見ることは 子供の頃から「最も身近な大人」としてその背中をみてきた子供にとってはショッキングな出来事ですよね。60歳代といえば まだまだ体力も気力も十分な年齢です。今までの仕事ばかりの生活から気持ちに余裕をもって 第二の人生に踏み出してもらいたいもの。
でも、自分たちが中学校から高校に上がる時に、親元から離れて一人暮らしを始める時に、新しい友達や環境・生活に馴染めれるか不安だったように、年齢を重ねている父親も同様、そういった新しい環境・生活に馴染めるかどうか不安になるものです。そんな時、自分たちはどうやって新しい環境に馴染んでいったのでしょう。そこには父親や家族の支えがあったのではないでしょうか。
父親が慣れ親しんだ職場を離れ、新しい環境に向かう節目が「退職」です。自分を支えてくれたように父親を支える、その一つの形が「退職祝い」のプレゼントでなのです。