当店のガラスエッチングは、サンドブラストという細かい砂を吹き付けてガラスを削る方法で行っております。削らない部分をブルーのシートや広範囲はガムテープなどでマスキングします。おおよその柄は決まっているので あとはそこに文字を載せるだけなのですが 実はその文字部分が一番気を使います。
誤字・脱字は論外ですが、たとえば改行部分。
ご夫婦で贈られるということで フツーに 旦那様・奥様と 縦書きで一行にデザインさせていただいたのですが 突然お怒りのメール。「夫婦で贈るのに、夫が上で妻が下とはどういうことですか?」
「うううう~ん。」ほんと、そんなこと云われても、、と言いたい所なのですが 皆様それぞれのご事情があってのお話。
並列にデザイン変更して事無きを得ましたが、それは極端な例(まだ一度しかその事例はないです、あっ、ご兄弟の場合も一度ありました。)として、贈り主の名前を「小さく」か 「大きく」もしくは贈られる側の名前を「大きく」か「小さく」か等々は多々あります。日付があるのに年が無い場合、年の入れ忘れかと思ったら、敢えて抜かさせていたり。
しかしながら、長年この作業をやっていると なんとなく分ってしまうのが経験値というものでしょうか。ご注文時のメールフォームでの書き方や全体的な彫刻内容から察せてしまったりするのです。一度ガラスを削ってしまうとそれは修正がきかないので その最初のデザインが一番気を使うのですが、おかげさまで長いことやってますとお客さまのキモチがちょっとだけ見えてきて より意に沿うデザインができるようになります。例として お熨斗の下の部分を「家族一同」とするか「お名前」にされるか「○○家 ××家」とされているかで 彫刻文に託された想いも想像できるようになります。
当店のご注文フォームはそんなに複雑なものではありません。逆にいえば 最近のネットショップの中では簡易な方とさえ思えます。ただ、一度いただいた注文フォームからいろんな想いをめぐらし、よりイメージしたものへと近づけて行く努力をさせていただいております。対面販売なら お客様に伺いながら細かく詰めて行けることでしょう。しかしながらそのお顔色を拝見しながらお伺いできないネット通販だからこそ、想像豊かに意をくみ上げる努力を日々重ねているのです。