建築デザインの言葉で「神は細部に宿る」という言葉があります。シカゴで活躍したミース・ファン・デル・ローエという建築のマイスターが語った言葉ですが、モノづくりにおいても「細かなディテールを疎かにして全体の美しさは得られない」と解釈されたりします。
みなさんは美術館はお好きですか?よろしければこの「神は細部に宿る」という言葉を胸に作品をみると本当に面白いですよ。中国の古い陶磁器やヨーロッパのガラスなども、その作家の背景や年代とか、作品の個性や色目がどうのとかではなく「こんなに細かい細工を施しているのか。」や「こんな隅っこに作者の遊び心が隠れているなあ。」など それを発見した時にその美術館で展示されている作品がとっても愛おしいものになるものです。少なくとも、私はそうやって美術館の展示物を見るのが好きです。
それは、美術館という限られた場所だけでなく、日々の暮らしのなかにも生かすことができます。たとえば、新築のお宅を訪問した時に施主さんがこだわって作られたエントランス、何気なく入ったカフェだけどコーヒーが出てきた時のほかでは見ることはできないようなティーカップ、きれいに手入れされているお庭にちょこっと隠れているガーデンオーナメント・・・・
その人やモノのもつ”こだわり”や”遊び心”を発見した時ほど、心をワクワクさせることはありません。そしてその”こだわり”や”遊び心”は、細部にしか表れていないと私は思うのです。だからこそ、それはまるで宝探しの宝物を見つけた気分!
私たちもモノを作る工房として実は細部にこだわっています。デザインにおいては行間や文字間をスペースキーのワンタッチで空けることなく、ピッチ単位で調整したり 制作においてもガラスそのものの磨きやブラストの圧力など、制作現場ならではのこだわりがあります。私たちにとってはそれは日々日常のことなので当たり前なのですが、工房見学にこられるお客様に「こんなところにまでこだわっているんですね。」とおっしゃっていただき、自分たち自身も「そんなところを見ていただけるのだな。」と嬉しく思うことがあります。
だから、私も自分たちの仕事をそんなように発見していただけたりすると嬉しいので、逆に発見する喜びを感じる心は絶対に忘れないようにしているのです。「神は細部に宿る」今日もその言葉を胸にガンバリマス。(あなたの神を宿らすガラスは→
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