桜のイメージといえば春。
今は2月なので桜の花も芽吹く様子もなく、それでもただ着々と開花の準備を寒空の下で進めていることは樹木の張りをみただけでも感じます。
そんな日本の春を象徴するような桜。なぜ、日本人は桜が好きなのでしょう?
日本の国花として親しまれ、また日本最古の書物「古事記」にも桜の記述があるほど遠い昔から日本人に親しまれてきた桜。桜という名前の由来には諸説ありますが、「さ」という名は神様を表し、「くら」は神様がいる場所を表し 「さくら」は神様が宿っている場所と昔の人は考えたという説があります。桜が満開になる季節は、ちょうど田んぼに苗を植え付けるとき。山に咲く満開の桜をみて「神様が見守っていらっしゃるのだろうなあ。」と人々は思い、豊作に思いを馳せたのでしょうね。
桜の花が咲くのは ほぼ一週間前後。いっせいに咲き、いっせいに散ってしまう桜を見ようと3月中旬からはニュースでも「桜前線」がアナウンスされ、また、その桜の開花前後は日本の年度替わりと時期も重なり 人の別れと出会いの象徴となったりもします。みなさんの心の中にも桜の花びら舞い散る下での思い出が何かしらあるのではないでしょうか。
2010年4月にウェザーニューズが行った「全国お花見調査」で、「あなたは桜が好きですか?」の質問に 85%が「とっても好き」 14%が「まあまあ好き」。合計99%の人が「桜が好き」と答えた調査結果があります。日本人は村落共同体で「和」を求める共同体意識が強く、その風習の根底から 一斉に咲き、一斉に散る桜を愛する心が強いと分析する海外のメディアもあります。
現代でもお祝いの席で「桜茶」が使われることがあります。お湯の中で桜が開くことが縁起がよいとされたり、身近なところでは 入試の合否案内で「桜咲く」や「桜散る」などと言われていた時期もありました。(ケータイ電話の普及とともに聞きなれなくなりましたが。)桜を使った言葉には人の運や人生の岐路を指し示すものが多いような気がしますね。
「明日ありと思う心の仇桜 夜半に嵐の吹かぬものかは。」親鸞上人作
桜は明日もまだ美しく咲いているだろうと安心していると 夜中に風が吹いて散ってしまうかもしれない。人生もそれと同じで明日どうなるかわからないという、世の無常を説いた戒めがあります。
日本人が好む桜には、日本人が好む「美意識」が根底に流れていると思います。満開の桜を見上げ それぞれの心に想うことが その人が大切に思っていること。一年に一度、何が大切なのか問いかけてくれる花が桜なのかもしれませんね。