ガラススタジオの諸先輩方からいただく言葉に「味のある作品は習いたての頃しかできないかも。長く続けると、いやでもカタチいいものになってしまう。」ガラス作家さんだからの言葉でしょうが、ガラス職人としては熟練を重ね、何度作業をしても同等それ以上のクオリティを目指すので いやでもカタチいいものという言葉は逆にうらやましいものです。
作家という職業は、大変な仕事だなと思います。小説を書く人、音楽を作る人、建物を造る人 ほかにもいろいろあるでしょうが、長い歴史の中で全部カタチあるものなど出尽くしたと思いきや、斬新なアイデアや新しい技法で私たちを驚かせ、また楽しませてくれます。
同じことを繰り返しやっていれば 上手になるというものではありません。どうしてもそこにはマンネリ化や慣れといった作業の省略といった落とし穴が待っています。その落とし穴に落ちずにモチベーション高く仕事に向き合うことができるのは それを作り上げた時の喜びや手にとっていただいた方からの一言だったりします。
作家さんの仕事は自分の才能との戦いでもあり、職人の仕事は自分の心との戦いでもあると思う時があります。どちらがいい、悪いでなく両方の要素が必要だと思うです。たとえば、晩御飯のメニューもついついいつもの得意料理であるカレーばっかり作ると、隠し味のソースがないときに手を抜いて入れなかったりすると家族から「なんかいつもと違う。」と、言われたり、新しいトマト味カレーに挑戦するのはふだんとレシピが違うけど、いつものカレー以上の美味しさへの挑戦だったり。
どのようなことでも ものごとにはそういった側面があるといことです。でも、ここでその両方の心を奮い立たせてくれるのが「今日の晩御飯は美味しかったよ。」とか、「いつもより彩がきれい。」といった周りからの声援だったりします。もちろん、いいことばかりではありません。「いつもより味が落ちてるね。」や「なんだか、昨日と一緒っぽい」など、クレームのようにも聞こえる言葉も、そうゆう時こそ、ありがたくその言葉を受け取りキモチを引き締めることが大切です。(だいたい、そうゆう時は思い当たる節があるというものです。)
人は「だれか」や「どこか」とつながっていたいものです。そのカタチが記念品やプレゼントであると思います。そしてそれを作る私たちとお客様もつながっていれば いつも心豊かに居れるというものです(^^)v