名前を刻む。
当店はガラスに文字や絵柄をサンドブラストという技法を使って、彫刻するガラス工房ですが、いつもその中でも一番多いお名前入れのことについて少しご説明しますね。
パーソナルギフトとは その人だけのオリジナルギフトです。パーソナルを表すのに一番適しているのがお名前でしょう。生まれて最初に贈れるギフトは「名前」と云われるほど、その人の印象や一生さえ左右します。余談ですが私は「美冬」という名前が苦手でした。ちょっとだけ好きになったのは30代後半かな?今のようにバラエティに富んだ名前が少ない時代でしたし、ほぼ初対面の人には「冬生まれですか?」と聞かれるのも苦手で、いや、本当に冬生まれなので気にすることもないのですが。それでも、目立つことの嫌いな子供にとっては重荷でした。でも、今は好きですよ。たぶん、人生において子供に名付けをした瞬間から変わったような気がします。
少し話が反れましたが、それぐらい名前というのは必ずついて回るものなので、彫刻文字をお悩みの場合はまずお名前入れをお薦めします。とはいっても 私のようにファーストネームが苦手な人もいるわけですから、その場合はファミリーネームがいいでしょうし、漢字で書く場合も、斉藤さんの斉など簡略でも良い方もいれば「斎」や「齋」「齊」など、こだわる方もいらっしゃいます。英語の場合も同じで「ようこ」さんを「Yoko」や「Youko」「Yohko」など、様々です。要するに正しい答えなどナイということです。でも、あるとするならば、それは「その本人の中にある」ということではないでしょうか。
だからこそ、贈る場合はその人をよく観察して想いを馳せらせます。ふだんからサインはローマ字だとか名刺につかっている漢字とか。本人に聞くのが一番ですが、それだとサプライズになりませんものね。そしてもっともおススメなのは 普段の呼び方です。「お父さん」や「お母さん」という呼び方は、基本的には自分の子供たちからしか呼ばれることはありません。その呼び方が刻まれていれば 明らかに子供から親へ贈った贈り物だと一目瞭然です。
だからこそ大人になった子供たちは親へのリスペクトを添えて 呼び名ではなくファーストネームで贈ったりもします。何気なく贈り物にお名前を刻んで贈る。それはその人との親密度や絆の深さを現していると思います。多くの人の絆を結ぶこともいいし、特定の限られた人と結ぶのもどちらが良いかなんて、正解はありません。それでも恩師やお世話になった方のお祝いごと、家族や子供の記念など、名前を刻んで贈ることでお互いの絆を再確認するのは生きていく上で 一つの喜びであったりもするものです。