秋風が涼しいよりも寒く感じると吹きガラスの季節です。
先日 ガラススタジオに向かう途中で一緒になった吹きガラスの先輩に
「ガラスの季節が来たね~」と嬉しそうに話している顔をみて 私も
「そうだ、この気温を作り手はガラスの季節というのだな」と思いました。
ガラスを使う側は「涼」を求めて、クールなガラスを想像しますが 実際に作る側は800度もある窯の前で作業をするのですから 涼しい方が作りやすいに決まっています。私の場合、暑い日のガラス作りは汗が目に染みてツライ想いをします。だって、ガラスの竿を両手でもっているのですから 汗を拭く方法がありませんもの。
ですから、男性のガラスを吹く職人さんは よくタオルを頭に巻いていますよね。あれはとても効率的だと思うのです。ですが、さすがに女子には敷居が高い。また、熱から目を守るための濃い色のサングラスをかけていることも多いですから 益々タオルを頭に巻くのは下手をするとダサダサです。
すっかりガラスの季節の話から話題が反れてしまいましたが、吹きガラスは窯の前で作ってガラスが出来上りということは少ないです。実際には、そのあと底刷りといって回転盤の前で水と土で吹いたガラスの底が平らになるよう磨き上げて行きます。上手に力が入らないと手元からガラスが飛んでいってしまったりする作業なのですが、その時は流れる水の前に立ちます。これはお湯ではなく水なのですよね。なので、吹きガラスだけを考えると今の時期からこれから寒くなるにつれて楽しくなるのですが そのあとの加工は水が冷たくなるこれからの季節は厳しくなってくるのです。
夏に作った底刷りがまだのガラスをたくさん貯めこんでしまっている私としは、「あら、もうこんなに寒い時期になってしまったのね」と内心焦るばかりです。