当店のある徳島県土成町は四国八十八か所札所の七番さん(十楽寺)と八番さん(熊谷寺)の間にあり 旧のお遍路道沿いにあります。大型バスとかが通れない道沿いなのですが 春先から今の真夏前には歩きお遍路さんがよく工房横を通って行きます。
「同行二人」という言葉をご存知でしょうか。仮に一人で四国八十八箇所を巡っても、常にお大師さん(弘法大師)と一緒にいる思いで巡るという意味です。もちろん、お大師さんでなくてもご先祖さまや気持ちを通じたい人や思想でもよいという教えです。私は愛犬マロンの散歩途中に 迷ったお遍路さんに(歩く道と車用の道でわかりずらい場所があるので)道を聞かれたりすることがあるのですが 歩き遍路は おひとりで回られている方が多いです。そんな時、老婆心ながら「さびしくないのかなあ~」と思ったりするのですが 旅を続けるうちに一人だからこそ得られる「同行二人」の想いがあるのでは、と思ったりします。
人は誰しも自分自身と対話しながら人生を歩む、という話を聞くことがありますが 実際の生活の中ではゆっくり自分と対話する時間を作るのは難しかったりします。でも、困難な出来事や悩みごとにぶつかった時、自分と対話する時間を必然的に作るためにお遍路さんは回られるのかなと思ったりします。
また遍路道に住んでいると「お接待」という風習が昔からあり自然と身につきます。幼い時はお遍路さんに「こんにちは」と声をかけることを教えられたり、札所への道を聞かれれば教えれたり、無料のお接待場も近くにあったりします。これはお接待することによって功徳と積むという考えからきているそうなのですが、功徳などそんな大それたことは考えずとも 見知らぬ人を迎え助けるキモチはとても清々しいものです。何かしら行き詰まった時に無欲の一声は、とても勇気づけられるものです。
人には良いときも悪いときもありますが、そんな心の状態まで察することは難しいかと思うのです。でもいつもウェルカムな心は 人の気持ちを優しくすると思います。お祝いごとに贈るのは、間違いのないことですが、「ちょっとしんどそうだな」という時にギフトを贈れる方は、本当にギフトの達人だなっと日々学ばせていただいてます。